2014年12月27日土曜日

菅谷君の豊島区議選出馬について

 共同運営実験スペース・りべるたん代表の菅谷圭祐君が来春の統一地方選(豊島区議選)に出馬する予定とのことだ。

・すがや、決起する!
http://sugayaseizon.wordpress.com/2014/12/16/%E3%81%99%E3%81%8C%E3%82%84%E3%80%81%E6%B1%BA%E8%B5%B7%E3%81%99%E3%82%8B%EF%BC%81/
・決起に際してのお願いごと
http://sugayaseizon.wordpress.com/2014/12/17/%E6%B1%BA%E8%B5%B7%E3%81%AB%E9%9A%9B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84%E3%81%94%E3%81%A8/

私と菅谷君はりべるたんを共に立ち上げた同志であり、また法大哲学科の同期で、1年生の時、彼が恋した女性の名前を言える関係にある。もうかれこれ8年近く、10代の頃からの付き合いだ。ここでは菅谷君の政策と人柄について、旧知の人間として、一筆書き記しておきたい。



20歳の時、法大にて


菅谷君の政策 


 先日、豊島区内で開催された「菅谷圭祐決起集会」に参加してきた。そこで菅谷君は、自分が区議になって何をしたいのか、どういう政策を打つのか、支援者へ説明していた。集会での政策発表の内容を大きく3点紹介する。
 第1に菅谷君は若者や低所得者への貧困対策を徹底して行うと主張している。昨今の日本社会では、パートやアルバイトなど、低賃金かつ不安定な雇用形態で働く労働者の割合が4割を超えており、10年前と比べて、貧困層は確実に増加しているのが現状だ。今秋、安倍政権が臨時国会に提出した派遣法改正案は、この非正規職化の流れをさらに後押しするものと言えるだろう。菅谷君はこういった政府の格差拡大路線に対して、地方自治の観点から抵抗を試みるという。具体的には、住宅支援だ。「家賃のために働いている」と言っていいほど東京の家賃はバカ高く、家計を圧迫している。だから、区の家賃補助を充実させることで、負担――とりわけ低所得者の――を軽減させたいと菅谷君は考えている。また現在、区内に2万2000戸ある空家の有効活用や、物件契約の際、連帯保証人を立てられなかったり、保証会社の審査が通らない社会的リソースの少ない人たちのために「公的保証人制度」の創設を行いたいと訴えている。生活の根本である「住」にこだわる、シェアハウス運営者ならではの視点だ。
 第2に菅谷君は生存のインフラを充実させると主張している。例えば、自転車の無料駐輪場の建設だ。区内には自転車の無料駐輪場がない。それ故多くの人が、やむを得ず一時的に路上駐輪するのだが、そうすると区が雇った業者に撤去されてしまう。返還には5000円の「撤去保管手数料」がかかる。新宿区は3000円であり、これは他区と比べて高い。「貧乏人の足を奪うな」と菅谷君は怒っている。また、無料Wi-Fiスポットの設置も菅谷君の公約だ。このご時世、人と連絡を取るのも、仕事を探すのも、すべてインターネット経由である。インターネットにさえ繋がっていれば、メール・通話・SNS・職探しができるし、逆に繋がっていないと手足をもがれたように何もできない。インターネットは「生存インフラ」だという確信を菅谷君は抱いている。公衆無線LANは、欧米の先進都市の多くで導入されており、日本でも三鷹市で導入されている先例がある。
 第3に菅谷君は議会改革を推進すると主張している。現下の日本は、年収200万以下のワーキングプアが1100万人を超え、消費増税とアベノミクスに伴う円安・物価高で庶民が塗炭の苦しみに苛まれている。そんな中、豊島区議の年収「1000万」はいかにも貰い過ぎだ。菅谷君はこれを500万円に半減、議会の日報3000円も廃止すると明言している。また、政務活動費の収支をインターネット公開したり、議会報告会を年4回開催するなど、市民への情報公開をきめ細やかに行うと約束している。さらに、400億円以上の予算をかけて新設されようとしている地上49階立ての豊島区新庁舎について、本当に必要なのか、計画の再検討を訴えている。議員が民衆とかけ離れた「特権階級」であってはならないというのが菅谷君の信念だ。
 以上が、先日の集会で発表されたおおまかな政策内容である。これら3点について、疑問点や詰めが甘いと感じる点は正直あるだろう。しかし個々の政策は事後的に修正可能であり、誤解を恐れずに言えば、枝葉末節に過ぎない。本質的なことは、菅谷君がいかなる人間のために政治をするかという政治的立場だ。1%の金持ちに利益誘導するのか、99%の庶民・貧乏人に利益誘導するのか、いかなる階級の代弁者なのか、そこが1番重要だ。菅谷君は後者だろうと私は考える。維新の党の谷畑孝衆議院議員は社会党→自民党→維新の党と渡り歩いており、自身の議員生活の延命以外何も考えていないと思われるが、間違っても畑中氏のような鵺の如き変節漢であってはならない。


現在、豊島区内で配布中のビラ



菅谷君の人柄 


 冒頭述べたように、私と菅谷君は法大入学以来、8年の付き合いがある。学科が同じであり、所属サークルの本部団体が一緒であり、法大を去って以後はシェアハウスを一緒に運営していることから、それなりに濃密な付き合いをしてきたつもりだ。私にとっては、あまたの苦楽を共にしてきた同志であると同時に、数少ない友達と言えるかもしれない存在である。ここでは私のよく知る菅谷君の人柄を(なるべくいいところを選んで笑)紹介したい。
 まず菅谷君は人を差別しない。例えば、りべるたんには、前科10何犯のヤクザから極左・極右・宗教者まで、様々な経歴や思想信条の持ち主が訪れるが、菅谷君はどんな相手でも、同じ人間として扱おうとしている。同意するしないは別として、まずは相手の目線に合わせて、しっかり話を聞く。これは当たり前のことと言えば当たり前のことだけれど、口で言うほど簡単ではない。世に暮らす人々の多くは、社会的地位の低い人を軽んじたり、思想信条の異なる相手を遠ざけ、排除しているからだ。哲学は、ギリシャのソクラテス以来、相手を同等の存在と見、対話を貫こうとする学問だが、そういう哲学科出身者らしい姿勢が菅谷君にはある。
 次に菅谷君には私利私欲がない。大抵の人間は自分がどうしたいか、どう動くことが自己の利益に適うかを基準に行動している。けれど菅谷君は、自分の行動が全体の利益に適うか否かを基準に行動している場合が多い。したがって、客観的に見てリスクが高かったり、煩雑な労を要する苦役でも、それが公共の益に資すると思えば、献身的に粉骨砕身する。と言うと何だか聖人君子みたいだが、これは彼のパーソーナリティのみならず、大学時代の勉学の結果でもあるだろう。彼が卒業論文の題材に選んだ18世紀のドイツの哲学者・カントは、その義務論で「汝の意志の格率が常に同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行為せよ」(『実践理性批判』)と教えている。いわゆる定言命法だ。菅谷君はカンティアンとして、主体的に利他的になろうとしているのだと思う。こと地方議員という職業は、それを自身の「出世の踏み台」に利用しようとする輩がなろうする職業だけれど、彼に関してそういった心配はないと断言できる。
 最後に菅谷君は雑務を厭わない。学生運動やりべるたんのような(一応綱領のある)社会運動に関係していると、社会変革の志に燃える「活動家」という人種によく出会う。しかし、彼・彼女らの少なくない部分は、運動に伴う具体的な下働きをおろそかにする傾向が強い。例えば、会議や集会の場では(あるはメーリスやSNSでは)大きな理想を語ったり、政敵への批判をぶちまけるのだが、ビラの作成や経理のエクセル処理、メンバー間のトラブル対応は面倒臭がってしようとしない、といった具合だ。日の目の当たらない事務やルーティンワークができない雄弁の徒はうんざりするほど多い。だが、運動や組織を運営するには、その種の裏方仕事が絶対に必要なのだ。菅谷君はそれらを率先して引き受ける人間である。彼なくして今日のりべるたんは存立し得ないだろう。
 以上述べたように、菅谷君は人を差別せず、私利私欲がなく、雑務を厭わない人物である。こういった彼の特性は、住民のために文字通り汗をかかなければならない地方議員という職業に打ってつけだ。大学同期のよしみや、同志としての身内贔屓ではなく、本人を審査した上で、本当に適任だと思う。


「最近、結婚を考えてます」


リベラル再生へ 


 「アベノミクス」を争点とした先の解散総選挙で、安倍自公政権は300議席を超える大勝を果たした。選挙後、安倍内閣が真っ先に決定したことは介護報酬費の減額と法人税の減税である。

・介護報酬引き下げへ サービス低下懸念も(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014121802000140.html
・法人税実効税率2.5%超引き下げで調整(NHK)
http://nhk.jp/N4H0602j

「社会保障を充実させる」と言って消費増税しておきながら、福祉予算を省くとは詐欺もいいところだ。安全保障や歴史認識の面で「強い国」を誇示しつつ、内政において、医療・介護サービスを切り下げ、労働規制を緩和し、競争を煽って、所得を2極化する安倍政権の基本スタンスは、今後も維持されるだろう。若者や貧乏人にとって、ますます生きづらい社会になっていくこと請け負いである。一方で先の総選挙では、民主党の議席漸増や共産党の躍進に示されるように、安倍政権の流れに抗いたいと思う勢力が一定程度いることも同時に明らかになった。今回の菅谷君の出馬は、そういった「リベラル再生」の一助となるものだと私は考えている。
 本選挙において菅谷君は、非政党の革新系無所属候補として戦いに臨むことになる。これまでのデータを見ると、豊島区議に当選するには、約1500票の得票が必要だ。選挙で重要な「地盤(組織)・看板(知名度)・カバン(資金)」いずれもない菅谷君にとって、この得票ラインを突破するのは容易なことではないだろう。しかし彼は学生時代から、ノンセクトの活動家として、組織的支援を受けず活動してきた。そういう意味では昔と何ら変わらない。私は彼の1から自分で物事を立ち上げていこうとする姿勢が好きだし、敬意を抱いている。応援したい。


決起集会後、支援者と記念撮影